NIPPON QUALITY Corporate Exhibitor

003
鋳心ノ工房
 【ティポット】山形

Success Case Introduction
成功事例紹介

統一感のあるブース、手厚いサポート。
今までにない展示会だな、と思った
青、赤茶、緑……と、色とりどりに並ぶティーポット。ハンドルとツマミが木でできたケトル。1997年、デザイナーである増田尚紀氏が、日本に伝わる鋳物の伝統美を今日の生活様式に提案すべく設立した鋳心ノ工房。モダンでスタイリッシュなデザインが目を引くプロダクトの数々は、特に欧米のバイヤーたちから高い注目を浴びています。かつては商社を介して海外と取引を行っていた同社は、現在、直接取引に力を入れているそう。その背景について、増田氏に話を伺いました。

INTERVIEW

01 : Information

作り手が直接商品の良さを
アピールする時代へ

「鋳物自体は、50年以上前からヨーロッパに輸出されていたのです。フランスの高級紅茶ブランドが日本製の鋳物のティーポットを採用したことから、デザインもどんどんスタイリッシュに変化していきました」と、増田氏。保温性が高く冷めにくい国産の鋳物は、長年にわたり世界中から高い人気を誇ってきました。しかし、最近では外国製の安価で粗悪な製品も多く出回っているといいます。「安価な製品は、製造の過程で何を混ぜているのかわからない。その点、国産の高品質の鋳物は安全性が高いといえます。差別化をするためにも、作り手自身が直接バイヤーとコミュニケーションをとって商品の良さをアピールする必要があるのです」。
国産ならではの高品質な鋳物は、世界中で根強い人気を誇っている
02 : The Reason

直接取引で、
海外マーケットがより身近に

2007年に、経済産業省生活関連産業ブランド育成事業に採択されたことをきっかけに、海外とのダイレクトなつながりがスタート。3回にわたって参加し、アンビエンテ、メゾン・エ・オブジェに出展。2015年から2019年にわたって、伝産協会主催のアンビエンテでのDENSANブースへのエントリーを続けています。「以前からも、海外のお客さまからは、『なぜ日本の商社を通さないといけないのか』と言われていました。商社を介さなくなったことで、大口のお客さまだけでなく、小規模の小売店にも販路を広げることができた。今までは、コンテナー単位で受注していたものが、宅配便の段ボール一つで配送することができる。きめ細かく対応できるようになったのです」。これまで“作り手”に徹してきた増田氏が、“売り手”としても活動するようになってからは、海外のマーケットがより身近に感じられるようになりました。
鉄瓶を日常生活に取り入れてもらうために、使いやすさを追求したケトル。
ハンドル、つまみに木を使い直接手に触れることができる材料を使用
03 : Nippon Quality

NIPPON QUALITYは、
今までの展示会とは違うと感じた

3年前にギフトショーを見学した際、「NIPPON QUALITY」のシンプルな構成のブースを見て、「今までの行政の取り組みとは異なる」と感じ、その翌年に出展エントリーを決めたという増田氏。「統一されたデザインで、来場者にとってまとまったブースに見えるのが魅力的だと思いました。実際に出展してみると、接客やディスプレーなどについて細かいセミナーが開催されたり、商談の際には通訳をつけてもらえたりなどサポートが手厚い。以来、2年連続で出展させていただいています」。その結果、オーストラリアのGinkgo Leaf Pty Ltdや台湾の東京食器などとの商談が成立。「展示スペースが限られているので、自分たちがアピールする商品を絞り込み、関連する情報はパンフレットを用意して明確に説明できるよう準備しました。展示できないサンプルは、あらかじめ用意されている“ストックボックス”に入れておき、ご要望があれば現物をお見せできるよう心がけました。」。
インテリアとして飾りたくなる鮮やかな色使いやスタイリッシュなデザインも人気の秘訣
04 : The Merit

すべての“出会い”を大切にして、
つながりを絶やさない

出展者とバイヤーをつなぐ「マッチング制度」の活用も有意義だと言います。「メーカーとバイヤーの意思が通じて、成約に結びつく可能性が高い。こちらが希望するバイヤーとのマッチングは、大方は熱心に耳を傾けてくれて反応は良好だと感じています。中には、弊社の商品を商社を通じて注文しているバイヤーもいる。改めてお互いを紹介し、その後のダイレクトな流通にもつながっています。また、同じバイヤーとJETROのマッチング事業で再会して商談につながったこともある」。出会った人には必ずサンキューメールを出し、つながりを続けることを大切にしているという増田氏。海外の展示会に出展、また見学した際には、マッチング事業の店舗を見学して直接挨拶をすることも心がけているそう。「出会いは、バイヤーだけではありません。さまざまな立場でモノづくりに関わる人が出展しているため、情報交換ができるのもいい」。出展者のクオリティーが高いことが、商談のしやすさにもつながっているそうです。
デザインだけでなく、マーケットリサーチやセールスなども自身で行うというデザイナーの増田尚紀氏
05 : Next Stage

グローバリゼーションを意識しないと生き残れない時代

小規模経営の企業にとって、海外進出に欠かせないのが展示会への出展。しかし、「経費や人手などの問題で、単独での国内、海外展示会への出展は厳しい」と、増田氏は指摘します。「引き続きNIPPON QUALITYに参加し、販路の拡大に努めていきたい。広いスペースに多くの商品を展示してアピールすることも大切ですが、バイヤーと直接会って拙い英語でも話し合うことがとても大切なことだと感じています」。また、冒頭でも触れたように、以前はメーカーと販売者で役割分担が明確だったので、作り手はつくることに特化すればよかったのですが、現在では作り手が流通まで担わなくてはならなくなったため、メーカー側の負担が増えているといいます。こういった傾向は、今後も進んでいくと増田氏は予測します。「日々変化するグルーバルな時代において、情報はとても大切。それを踏まえてモノづくりを続けていかなくてはいけない。今後、小規模経営といえどもグローバリゼーションの時代の流れの中で生きていくしか道はありませんが、情報量は少なく、多くの情報は中小機構などの支援に頼らざるを得ません。たとえば昨年参加したセミナーでは、当時の販促状況を把握する良い機会となりました。我々にとって、NIPPON QUALITYのような事業はなくてはならない存在なのです」。海外進出が身近になってきた今こそ、情報やサポートをどう活用していくかが販路拡大において成功を左右するカギになると言えそうです。
鋳物のティポットは保温性が高く、冷めにくいのが特徴。ティカップとの組合せも楽しむことができる
カメラマン:根津 佐和子 ライター:河合 かおる

企業DATA

鋳心ノ工房 [山形県]
創 業:1997年
代表者:増田 尚紀
所在地:山形市銅町2-1-12
日本に伝わる鋳物の伝統美を今日の生活様式に提案する工房。鉄、アルミニウム、ブロンズ等の素材を中心に鋳物のデザイン、製作、流通を一貫して手がけている。国内に留まらず、国外にも販路を広げている。