NIPPON QUALITY Corporate Exhibitor

005
株式会社添島勲商店
 【福岡】

Success Case Introduction
成功事例紹介

いぐさの新たな可能性を求めて
時代と環境を選ばない商品の提案。
元々は、1949年にいぐさの問屋として創業した「添島勲商店」。現在日本のいぐさ商品の約8割が、海外産のいぐさを使っている中で、「100年先、200年先でも売れる、本当にいいものを作りたい」と、2000年ごろに100%国内産の使用へと大きな舵を切りました。全て国内産のいぐさを使って製品を製作しているのは、日本中探してもここ1社だけだと言います。「素材の仕入先」から「新たな販売先」へと、海外の捉え方が変わった同社の海外販路開拓を伺ってきました。

INTERVIEW

01 : Information

購入先から販売先へ
約20年前から仲間とチャレンジ
していた海外販路開拓。

いぐさの商品は、涼しげな印象からか夏物扱いを受けがちですが、本当は季節性がないものです。そんな消費者に根付いてしまっているいぐさの季節感を払拭し、新たな用途や可能性を探していきたいと、熱く語ってくれたのは、「株式会社添島勲商店」のインテリア部課長・石橋直樹さん。ご実家がいぐさの「織り」を行っていることもあり、昔からいぐさは身近にあったそうです。「完全国内産に踏み切った2000年ごろから、いぐさそのものをもっと広めたい、そして『海外に輸出している商品を作っている』といったこの産業に関わる人の自負やモチベーションを高めるものづくりがしたいと思うようになり、海外に商品が売れたらいいなという気持ちが少しずつでてきました」と話します。

ちょうどその頃、家具のまちとしても有名な隣町、福岡県大川市にある家具屋さんと日本インテリアデザイナー協会がコラボして行う展示会で、インテリア&テキスタイルデザイナーの川上玲子さんに出会います。様々な同社の商品を見せたところ、「いぐさでこんなこともできるんだ!」と驚かれ、この出会いをきっかけに、川上さんと新たな商品化をしていくなど、いままでにないいぐさの可能性が広がっていきました。そんな外へと開く活動の最中に出会い、意気投合した佐賀の有田焼の方や、大分の竹製品の方、嬉野のお茶屋さんなどとチームを組み、一緒にドイツの「アンビエンテ」に出展。これが「添島勲商店」の初めての海外出展となります。その際の同社の持って行った商品ラインナップはランチョンマットやコースターといった、テーブルウエア周りの小物を提案していました。
上:コシとハリのあるいぐさで丁寧につくられた商品は、一度使ってみるとその上質さに驚く。
下:「畳のインソール」という珍しさだけでなく、鮮やかなカラー展開が消費者の心をくすぐる。
02 : The Reason

日本と海外の文化の違いをクリアし
生活にスッと入っていける商品づくり。

海外の展示会に出展する中で、いくつか商品の注文があるなど、少しずつ海外販路を生み出していきましたが、次第に最初にして最大の壁「暮らしのスタイルの違い」が浮き彫りとなってきました。一番大きい違いは、関心は持ってくれるものの、靴を脱がせるという部分が想像以上にハードルが高いということです。その為、靴を脱いで使うラグでは今一歩購入へと結びつきにくかったのです。ただ、生活のスタイルにもあっているランチョンマットだと、輸送費を含めると地元の人が買う相場よりも価格が上がってしまって工芸品扱いになってしまう……。そんな文化の違いを超える商品ができないかと模索する中で、以前からやりたかった「畳いぐさのインソール」が生まれました。対象は靴を履いている全世界の人。「大半のインソールは、フリーカットで作られているため、靴のサイズに合わせて縫製しないといけないなど意外と手間がかかる。その為、以前より話はあがっていたものの二の足を踏んでいましたが、もう型をつくってしまおう!と踏ん切りをつけ、ようやく全世界の人に向けた商品ができました!」と笑顔で当時を語ります。世界へインソールを広げていくことはもちろん、展示会に出ることで、海外へ向かって活動されている他の出展者とつながり、いぐさのもつ性能を生かした別軸の商品が生み出せたら、とも考えているそう。「NIPPON QUALITY」に参加しようと思ったきっかけはそんなところにもありました。
03 : Nippon Quality

ブースのデザインの良さが
商品の良さを引き上げてくれる。

2016年の第一回目の「NIPPON QUALITY」も数名の仲間と共に応募し出展しました。 当時のことを振り返って石橋さんは、「造作はしてもらえるし、特別造作費も掛からない、と私たちにとってはとてもありがたくて。そして台湾や中国、アメリカなどのバイヤーとも知り合うことができました。また、ブースのクオリティを見て『なにこれ!』と出展社界隈の人たちの中でも結構話題にもなりましたよ。2017年では、以前より知り合いだった装飾デザイン事務所「SUPER PENGUIN株式会社」の竹村尚久さんがブースデザインをやると聞いて、より期待値があがりました。私の周りでも結構応募した人は多かったようです。あと、私は『添島勲商店』からひとりで出展するので、事前マッチングや当日の誘導などサポートいただけたことも助かりました」と展示を振り返ります。実際にこの展示会をきっかけに、ビジネスマッチングをしていた輸出商社さんや、ドバイのディストリビュータの方と今後の話ができたり 、台湾のバイヤーさんからは、中国での展示会へのお誘いもあったそうです。さらには、世界的な建築家のザハ・ハディド事務所が設計される建物内の建築資材として、ロシアの方からも連絡もあったそうです。そのほかにも、海外の市場調査を兼ねた展示に参加させてもらえることになったりと新規の問い合わせも増えていきました。
04 : The Merit

空間に寄り添う素材だからこそ、
新たないぐさの価値づくりを。

現在の売り上げはまだまだ日本の方が多い、と話す同社の、今後の販路開拓のキーワードは「素材としてのいぐさと、季節商品感をいかに払拭するか」。以前香港の家具の面材としていぐさをはっているのが話題になったことや、5、60年前のビンテージ家具に、いぐさが使われているのをみて、いぐさの新たな可能性を見たといいます。「添島勲商店」のいぐさは業界の中でも最遅の刈取りをおこなっており、できるだけ長く育成させているため、中身がぎっしりと詰まっていて、一本一本しなやかでありこしがある。そんな手間はかかるが上質ないぐさを建築や建材として、そして面材として生かしていければ、季節感をなくした「素材」として、さらなる販路の拡大へと生かしていくことができるのではと考えたのでした。実際に展示会をきっかけに大手建築関連から見積依頼もきているそうです。
お話を伺った、「株式会社添島勲商店」の石橋直樹さん。
05 : Next Stage

まずは一歩ふみだし、
周りを巻き込んでいくことが
ポイント。

今後海外に向けて販路を気づいていきたい人へのアドバイスを尋ねると「『NIPPON QUALITY』は普通に展示会に出展するよりもリーズナブルだし、出展者内外を問わず刺激が多い。どうやって海外の販路を広げて行ったらいいか悩まれている人は、まずそういったチャレンジしやすい展示会を積極的に活用し、一度足を踏み入れてみて、海外の方との取引や温度感を体感してみるのがいいと思います。出展してみれば何かしら、コトは始まっていきますよ」と石橋さん。いざというというチャンスが目の前にきたときに可能性の引き出しは多い方がいい。数十年前から海外販路開拓に取り組み、いろんな種を積極的に蒔き間口をひろげる、同社ならではの海外戦略がそこにはありました。
取材・文:竹中 あゆみ

企業DATA

株式会社 添島勲商店 [福岡県]
創 業:1949年
所在地:福岡県大川市中木室23-1
代表者:石橋直樹
生産者のものづくりに込めた思いと、良いものを届けたいという願いから、上質な「国産いぐさ」にこだわった、人の暮らしを快適にする多様な商品展開を行う。従来のいぐさが持つ、「涼しげで自然色」というイメージを変え、幅広く独創的で環境にも優しい商品展開に海外のファンも多い。